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Kazamaki Takashi
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坂本辰雄展 1963~2005 
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坂本辰雄展 1963~2005 ランダムヒストリー
2006年6月2日(金)~7日(水)
11:00am~7:00pm (最終日は5:00pmまで)

川崎・元住吉「アートスクエア木月」 (tel. 044-433-4010)

川崎・元住吉に新しくできたアートスペース「アートスクエア木月」のオープニングとなる企画展。

地元の井田小学校、中原養護学校、新城高校などで美術の専任教師を歴任し、多くの生徒達から「坂本先生」と慕われた坂本辰雄。
60年代のポップアートの洗礼を受けた若い頃の作品から、相模原の公民館時代に制作したイラストによるポスター、絵の具を拭き取る抽象絵画、木々のぬくもりを感じさせる風景画、木の葉や紙風船などを精緻に描く透明感や浮遊感にあふれた最近の作品まで、作家の画風の変遷をランダムに展示していきます。

60年代末、ベトナム戦争や学生運動、アポロの月面着陸といった時代に、井田小学校の5・6年生の図画工作の専任だった坂本辰雄は、生徒が提出した画用紙のウラに、一枚一枚赤ペンで講評を書き込んでいった。

「オマエは絵を苦手だと思っているようだが、オマエの持っている色彩感覚はとてもいい。あとは根気よく、最後までていねいに描くことだ。」

絵が上手く描けないことにコンプレックスを持っていたものにとって、その言葉は「オマエはオマエでいいんだ」という教えだった。

糸鋸を使った木工など、坂本先生の図工は、教室ではなく屋上で行うことも多かった。
屋上へ出る階段の奥には、ゴチャゴチャとした図工の準備室があり、階段の踊り場の近くには、子供達と共同制作したというキューピーのオブジェが無造作に置いてあった。
時代を反映してか、戦場にキューピーが倒れているといった戦争をテーマにしたそのオブジェは誰もが覚えていて、坂本先生の話がでると「あのキューピーは凄かった」という話になるほど伝説的な作品になっていた。

ただ、坂本辰雄の描く「キューピー」は、そうしたメッセージ性の強いものではなく、60年代のポップアートのもつ都会風のセンスと明るい彩りで、さまざまな形にコンポジションされていく。
古い価値観が壊れ、新しい価値観が生れてきた時代の風に押されながら、その作品は、まだ未来が明るかった頃の記憶とともに、「絵は観る人が自由に感じ取ってもらえばそれでいい」という、押し付けのない心地よい軽さを持っている。

その後、絵の具を拭き取る、虚無の世界の入り口のような抽象的な作風に傾倒した時期を経て、木々のぬくもりを感じさせる風景画や、枯葉を題材にした精緻な静物画といった坂本辰雄独自の世界が形作られていく。

枯葉を使ったコンポジションに、かつて「キューピー」で試みたポップなセンスの残像といったものを見つけたとき、作風の変化のなかで、作家の持っている「変わらぬ精神」といったものも、見て取れることができるようだ。
                                   (アートスクエア木月  風巻 隆)

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