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五十嵐美代子 第2回小品展
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                                                    (たんぽぽ)

2009年11月5日(木)~9日(月)  
午前11時より午後7時まで 最終日は5時まで
入場無料


川崎市中原区井田で、「いがらし美術教育研究所」をご夫婦で長年営んできた五十嵐美代子さん(79)が、地元のアートスペース「アートスクエア木月」で、一昨年に続く第2回目となる小品展を行う。

1959年(昭和34年)の絵画教室開設から50年。子どものイマジネーションを大切にする「想像画」を中心として教え、美術というもの本来の楽しさや豊かさというものを子ども達と共有してきた五十嵐さんは、自らの作品を制作するときにも、子どものような自由な想いで、偶発的なイメージを広げて楽しむ「遊び心」といったものを、キャンバスにのせていく。

絵の具を水面に垂らす「マーブリング」という手法で偶然にできるさまざまな形を手がかりに、作品は、中央から外側へ広がっていくように油彩、テンペラ、油性鉛筆などで仕上げられていく。

はじめに水を使うからなのか、全体のイメージは重力といったものを感じさせない「揺らぎ」とともにあり、作品はどれもあたかも揺れ動いているかのような印象を受ける。

淡い色彩や細やかな筆使い、水中花のような植物の持つ曲線は、女性的な「やさしさ」や「生命感」を感じさせるとともに、知らない世界を覗き込んだような「不安」や「はかなさ」を併せ持っている。

前回の小品展では、「マーブリング」をもとにした作品の他にも、いくつかの具象的な作品が展示され、なかでも一匹の蝉を細かい線で丹念に描いた小品は、小さいながらも圧倒的な存在感を持っていた。

余計なものが一切なく、全てを描ききらないで余白のあるその作品は、蝉という対象を極限まで見つめることで、そこには描かれていない夏という季節や、遠い思い出、いのちのはかなさ、鎮魂、そして、無というものも浮かび上がっていた。

五十嵐さんの描き出す絵の向こう側には、おそらく、たくさんの「物語」があり、果てしなく広がる「世界」がある。

1930年(昭和5年)、鹿児島市に生まれた五十嵐さんは、戦後上京し、武蔵野美術学校(現在の武蔵野美術大学)に学び、夫の五十嵐昭日子(あきひこ)氏とともに「いがらし美術教育研究所」を設立する。

自らは1964年(昭和39年)に春陽展に初出品・初入選し、80年代からは春陽会会員として、おもに銀座の兜屋画廊で個展を続けてきた。

教え子も多く、教え子がその子供を入会させることも多いという絵画教室は、50年という年月を通して地域の文化を支えてきている。今回も、多くの生徒さんたちが「五十嵐先生」に会いに来てくれることだろう。

「地元で多くの方々に絵を観てもらいたい」という五十嵐さん。絵を見て、心に浮かんだことを話すとき、絵は作者の手を離れて「みんなのもの」になっていく。心を自由に遊ばせる…、そんな時間を五十嵐さんと過ごしたい。

                          文責    風巻 隆(アートスクエア木月)

問い合わせ   044-433-4722  五十嵐
          044-433-4010  アートスクエア木月
e-mail          takashikazamaki@h6.dion.ne.jp



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                                                    (森の中で)


Kazamaki Takashi
五十嵐美代子   0 0

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